1,三浦氏の発祥 三浦氏は千葉氏や大庭氏、梶原氏などと同じく、村岡五郎平良文が遠祖とされている相模国三浦郡三浦郷発祥の豪族である。平良文の二男・ 村岡五郎忠通が相模国の在庁官人となり、その嫡男・平大夫為通が御浦郡に住んで「三浦」氏を称したという。系譜上、為通の弟とある権大夫平景通は鎌倉郷に移り住み、「鎌倉」氏の祖となったとされる。ただし、それらを証明する史料的価値の高い文献は遺されていないため、系譜に記載されたままを史実とするのは問題がある。 ●三浦氏諸系図に見られる人物の混乱
高望王―+―平良兼――――公雅――+―致成――――+―致方 また、三浦氏は古い国造の流れをくむ氏族の末裔という説もあるが、国造の代表的な史料とされる『国造本紀』は国造の伝承も含みつつも、国造の異なる性質に関する矛盾や祖とする人物と国造との不合一など多数抱え込んだものであり、系譜を見る上での史料的価値には疑問が大きい。 初期三浦氏はあくまで「三浦郷」にのみ勢力を有し、その庶家が発生して「三浦郡」各地へ進出したのはあくまで平安時代後期であること、それ以前に分かれた庶家があったとすれば、平安時代後期の三浦半島において、三浦氏の従族または敵対氏族が文献・伝承両面から皆無であること(古代国造の系統を引き「三浦郡」に勢力を有したとすれば、それ以前に庶家が発生していないのは不自然)、さらに当時としてそれほど貴種性が高いわけではない「平」姓を名乗る理由も不明である。これらから考えると、三浦氏が三浦郷へ進出したのは平安時代後期と見るのが妥当で、それは頼義・義家時代とも矛盾はしないだろう。また平姓についてもそれ自体否定する論拠は乏しい。 三浦氏の初期における系譜は混乱しているものの、当時混乱の続いていた関東地方において正確な伝承を残すことは不可能かつ不自然であり、裁判上、族譜の重要性が求められた鎌倉時代において、三浦一族およびその血に繋がる者の伝承によって系譜の混乱が生じたたためではなかろうか。 2,三浦氏の伸長と没落 平為通、為継父子は源頼義、義家の郎党として、奥州で起きた「前九年の役」「後三年の役」で活躍したといわれ、為通の名は見られないものの、後三年の役においては、永保3(1083)年に「三浦ノ平太為次」が見える。 三浦義継、義明(吉次、吉明)父子は天養元(1144)年10月21日、源義朝に従って鎌倉郷大庭御厨に押し入り、大庭庄司平景宗と抗争。大庭御厨の荘園領主であった伊勢神宮の訴えによって、源義朝、三浦義継・義明らが追討令を発せられている。 その後、子孫は三浦郷から三浦北部へ進出していく。さらに通婚によって相模国国府周辺から西部にまで進出している。これは三浦義明が在庁としての「相模介」(いわゆる在国司職か。彼の時代に除目による国司の下国があったかは不明)となり、影響力を行使したことによるものか。 そして三浦義明は、治承4(1180)年8月の源頼朝(源義朝の子)の伊豆挙兵時に一門を率いて頼朝方に加わり、自身は敗れて陣没(自刃とも)。しかしその功績は子孫に受け継がれ、鎌倉幕府の成立後は有力御家人に成長した。執権である北条氏と三浦氏は縁戚となり友好関係を保っていたが、北条時頼が執権職につくにおよんで、時頼の有力御家人排斥政策のために嫡家・三浦泰村が滅ぼされ、三浦宗家は各地の地頭職、相模国守護職を没収された。その後は「三浦介」の家名は続くものの、没落していく。 3,三浦氏の再興
三浦惣領家は、泰村の滅亡後、三浦介義明の五男・佐原十郎義連の系統に継承された。 義連の子孫は相模国蘆名郷を領して「蘆名」を称しており、のち、義連が奥州合戦の恩賞として賜った陸奥国会津郷へ移り住んで繁栄。室町時代には伊達氏や大崎氏などと肩を並べる大名となった。 一方、相模国に留まった一族は「三浦介」を継承し、相模国三浦郡の所領を継承。足利尊氏によって三浦景継が相模国守護職に就任(景継は三浦介ではない)し、子孫は代々相模国守護職として室町時代に繁栄した。そして室町時代後期には関東管領上杉氏とも縁戚関係となるが、三浦介義同・義意父子は小田原に興った伊勢宗瑞(北条早雲)によって三浦郡に滅ぼされた。彼の子孫は安房国へ逃れて安房里見氏の重臣・正木氏となり、正木氏の娘と徳川家康との間に産まれた徳川頼宣の血は、代々紀州徳川家に伝えられていくこととなる。八代将軍・徳川吉宗にも三浦氏の血が流れている。 三浦氏の代表紋はいわゆる「三浦三引」とよばれる横三引きの家紋である。これはもともと三浦氏の陣幕に用いられた意匠であると伝わり、旗にも用いられたようである。この陣幕の色は上から黄、紫、紅色の三色で染め出された鮮やかなもので「黄紫紅(きむらご)」と呼ばれていた。 ●世代間系譜
+―平忠頼――平忠常――平常将――平常長―――平常兼―――千葉常重――千葉常胤
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